ストレスストレスの多い現代社会。強い心理的なストレスは細胞の老化を早める可能性が高いと、米カリフォルニア大サンフランシスコ校などのチームが30日までに発表した。研究論文が近く、米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。 ストレスがさまざまな病気の引き金になることは指摘されていたが、具体的なメカニズムは不明で、同チームは細胞の老化が病気を引き起こす一因とみている。 チームは、病気の子供を介護している母親39人と、健康な子供を持つ母親19人について、免疫にかかわる白血球細胞の核の中にある「テロメア」という部分の長さを調べた。テロメアは細胞が分裂して年を経る度に短くなるため、細胞の老化の一つの目安になる。 介護している母親では、介護期間が長くなるほどテロメアが短かった。また母親全体の中で、調査に対し特に強いストレスを感じていると答えたグループ(14人)は、特に小さいグループ(14人)と比べ、年数に換算して9―17年分もテロメアが短いという結果だった。 人はストレスを受けると、副腎皮質からコルチゾールというホルモンを分泌し、ストレスに立ち向かう状態を整えます。 しかし、強いストレスを受け、それが長く続くと、コルチゾールが過剰に分泌され、それが慢性化すると、健康にさまざまな影響をおよぼすことが最近の研究により分かってきました。 ここでは、ストレスに対する自然の有効成分をご紹介します。 <有効成分> ●ウィザニア ウィザニアは、滋養強壮、強精、リュウマチの緩和など主に健康回復および健康増進に用いられることから「インドジンセン(インドの朝鮮人参)」とも呼ばれ、アーユルヴェーダを代表するハーブの一つとして幅広く利用されています。ペルシャ伝承医学ユナニでも、ウィザニア根は喘息、気管支炎、関節炎や腰痛に、また妊娠促進にも使用しています。地中海の沿岸地方は古くからウィザニア根の栽培が盛んな地域で、催眠薬として利用されてきました。 近年の研究では、抵抗力増加作用(2)、抗ストレス(鎮静)作用(4)、老化防止作用、脳機能改善作用、抗炎症作用、リラックス効果のほか、しゃっくり、咳、リュウマチなどにも有効性が報告され、ますます注目されています。また、近年ダイオキシン類をはじめとする化学物質が環境ホルモンとして生殖機能を減退させることが問題となっていますが、ウィザニアエキスは環境ホルモンの汚染によりダメージを受けた生殖器官の回復を助ける食品素材として期待されています。 ●ホスファチジルセリン リン脂質の一種で人の身体にもあるホスファチジルセリン(PS)。 動物にPSを投与して脳の機能に及ぼす影響を調べる研究はこれまでに数多く行われており、この結果をふまえて人間を対象にした臨床試験(二重盲検試験)も多く報告されています。それによれば、記憶・判断・抽象的思考などの精神的機能に減退ないしは障害がみられる50歳代~90歳代の中高齢者にPSを経口摂取させると、PET(脳断層撮影法)で測定された図に示されるように脳内のエネルギー代謝が活性化され、名前・数字・場所・文章等を覚える学習能力、それらを思い出す記憶力、人の顔を識別する能力、物事に対する注意力や集中力、これらの持続性が著しく改善されることが確かめられています。 このほか、PSの摂取によって、脳のα波リズムの高まり、アセチルコリンーコリン作用の活性化、不眠や無感動・自閉的な症状の改善、脳髄液中のドーパミンレベルの上昇(ドーパミン欠乏症状の改善)、アルツハイマー症をともなうパーキンソン病患者の不安緩和と熱意回復、ホルモン分泌の調節(甲状腺刺激ホルモンの分泌リズム回復、若年者のストレスホルモン生成抑制)などで有効性が認められています。 このように、PSには脳内のエネルギー代謝や種々の機能の活性を高め、ホルモン類の分泌調節作用があり、高齢者の記憶力・認識力・集注 力やこれらの持続性の低下を抑制、回復、改善する等の機能があることが明らかになっています。なお、PSのこのような作用・機能は、化学構造式が類似しているPC(ホスファチジルコリン)やPE(ホスファチジルエタノールアミン)などの他のりん脂質(レシチン)では認められないといわれています。つまり、これはPSに特有の機能であり、まさに驚くべきことです。 ●テアニン 平成10年11月26日静岡市で緑茶の効能研究発表会「お茶パワー」が開催され,静岡県立大学の横越教授が緑茶成分の「テアニン」が脳の神経情報伝達物質に作用することを発表しています。 同大学では,お茶を飲むと心が落ち着くのはどうしてだろうと緑茶に多く含まれているアミノ酸「テアニン」に注目し,ラットに「テアニン」を投与する実験を行い、その結果「テアニン」には,脳の内部の記憶や学習能力・情緒にかかわる神経情報伝達物質に作用することを科学的に証明しました。平成7年には学生に「テアニン」を投与してリラックス効果を測定する実験を行い,テアニンが濃いほどアルファ波が強く現れる結果が出ています。 発表によれば,テアニンは品質の高いお茶ほど大量に含まれるうま味成分で,高ストレスや痴ほう症に有効な医薬品にも活用されるとしています。 連絡先:静岡市谷田52-1 静岡県立大学栄養化学研究室 <実験> 横越教授(県立静岡大学)は、10人の女子学生にテアニン入りの水と入っていない水を飲んでもらい、飲用後1時間の脳波を測定した。学生がテアニンの入った水を飲んだ時ほど、安静時に出るとされるα(アルファ)波が計測された。水だけを飲んだ場合のα波の出現は1時間中に平均9分間だったのに対し、テアニンを飲んだ場合14分間。出現した回数も150回に対し250回だった。テアニンが濃いほど、α波は強く表れたという。 食品成分と脳機能に関する研究を続けてきた横越教授は「脳内の神経情報伝達物質が栄養によって影響を受けるとすれば、食欲や学習・記憶、情緒など伝達物質で制御される行動が影響も受ける可能性がある」と話し、「うつ病や過剰行動などの社会的問題まで影響は及ぶ」と指摘する。 |